歯を磨いている時に鏡を見て、歯茎の付け根付近にポツンと白いできものを見つけると、それだけで気分が沈んでしまうものですが、この正体の多くはアフタ性口内炎と呼ばれるものです。歯茎の付け根、特に歯肉と頬の粘膜の境目あたりは非常にデリケートな部位であり、そこが白く丸くえぐれたようになっているのは、表面の粘膜が消失してフィブリンという白い膜が傷口を覆っている状態を指します。この白い部分は決してカビや膿の塊ではなく、体が傷を治そうとして作り出したタンパク質の成分なのですが、その下にある神経が剥き出しに近い状態であるため、食事の際の塩分や酸味が直接響き、鋭い痛みを引き起こします。なぜこの場所に口内炎ができるのかといえば、最大の要因は免疫力の低下にあります。仕事の忙しさや人間関係のストレス、あるいは1週間以上の睡眠不足が重なると、体内のビタミンB2やB6、ビタミンCが大量に消費され、粘膜を新しく作り替えるサイクルが追いつかなくなります。その結果、本来であれば跳ね返せるはずの口内細菌や、歯ブラシが少し当たった程度の微小な傷がきっかけとなり、組織が崩壊して白い穴が開いてしまうのです。また、歯茎の付け根という場所特有の理由として、歯磨きの際に力が入りすぎてしまい、硬い毛先が常に同じ場所を刺激していることも考えられます。1度できてしまった白い口内炎を早く治すためには、何よりも患部を刺激しないことが鉄則となります。辛いものや熱い飲み物は避け、食後は低刺激のうがい薬で口の中を清潔に保つようにしてください。市販の塗り薬や貼り薬を使用するのも有効で、物理的に傷口を保護することで痛みを軽減し、治癒を早める効果が期待できます。通常であれば1週間から2週間程度で白い膜が薄くなり、周囲の赤みが引いて完治へと向かいますが、もし2週間を過ぎても全く改善の兆しが見えなかったり、白い部分がどんどん大きくなったり、あるいは患部が異常に硬くなっているような場合は、単なる口内炎ではなく別の疾患の可能性も否定できません。特に歯茎の付け根にできる白いできものには、歯の根っこの先に膿が溜まり、その出口として現れるフィステルという症状もあり、これは口内炎の薬では治りません。自分の体が発しているこの小さな白い信号を無視せず、生活習慣を見直すきっかけにするとともに、不安がある場合は早めに歯科医院を受診して専門的な診断を仰ぐことが、口腔内の健康を守るために非常に重要となります。