抜歯から2〜3日が経過すると、多くの場合は痛みのピークを越え、腫れも少しずつ引き始めます。この時期は、流動食ばかりでは体力が持たないため、少しずつ固形物を取り入れ、通常の食事へと移行していく段階です。しかし、まだ傷口は非常にデリケートな状態。油断は禁物です。焦らず、段階を踏んで食事の形態を上げていくことが、順調な回復への鍵となります。この時期の食事で意識したいのは、「噛む回数が少なくても食べられる、柔らかいもの」です。主食であれば、おかゆから「柔らかく炊いたご飯」や、よく煮込んだ「うどん」などにステップアップしてみましょう。パンが食べたい場合は、耳などの硬い部分は避け、牛乳やスープに浸して柔らかくした「パンがゆ」などがおすすめです。主菜としては、ひき肉を使った「そぼろ」や「ハンバーグ(ソースは刺激の少ないもの)」、あるいは「豆腐料理(麻婆豆腐なども辛さを抑えればOK)」、「茶碗蒸し」、「卵とじ」などが、タンパク質を補給するのに適しています。魚であれば、煮付けや蒸し魚など、骨が少なく、身がほぐれやすいものが良いでしょう。野菜も、加熱して柔らかくすることが基本です。じっくり煮込んだ「野菜スープ」や「シチュー」、野菜をミキサーにかけた「スムージー」、あるいは「マッシュポテト」なども、ビタミンやミネラルを補給するのに役立ちます。この時期に、特に注意したいのが「食べ物の大きさ」と「温度」です。まだ大きく口を開けるのが難しい場合もあるため、食材はあらかじめ細かく刻んだり、一口サイズにカットしたりしておくと、食べやすくなります。また、熱すぎるものは、まだ炎症が残っている傷口を刺激し、痛みを再燃させる可能性があります。猫舌くらいの、人肌程度の温度に冷ましてから食べるようにしましょう。そして、食事の際は、必ず「抜歯した側とは反対側の歯」で、ゆっくりと噛むことを徹底してください。もし、少し硬いものを試してみて痛みを感じるようであれば、無理はせず、また一段階柔らかい食事に戻す勇気も必要です。自分の傷口の状態と相談しながら、焦らず、一歩ずつ食事のステップを上げていくことが、順調な回復への一番の近道です。