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医療
  • 「お任せします」から「一緒に考えます」へ

    医療

    インフォームドコンセントという考え方が日本に定着するまでには、長い道のりがありました。かつて、医療の現場では「パターナリズム」という考え方が主流でした。これは「父権主義」とも訳され、知識や経験が豊富な父親(医師)が、子供(患者)にとって最善と信じることを決定し、それに従わせるという関係性です。そこには「患者のために」という善意がありましたが、患者自身の意思や価値観が尊重される余地はほとんどありませんでした。「先生にすべてお任せします」という言葉は、この時代の医療を象徴するものでした。しかし、時代は変わりました。人々の権利意識が高まり、医療が飛躍的に進歩して治療の選択肢が多様化する中で、患者が自らの意思で治療法を選ぶ「自己決定権」が重視されるようになったのです。インフォーム-ドコンセントは、この大きな変化の中心にある考え方です。それは、医師と患者が「支配する側とされる側」という縦の関係から、「共に病気に立ち向かうパートナー」という横の関係へと移行するための、いわば架け橋の役割を果たしています。もちろん、今でも最終的に「先生にお任せします」と委ねる選択をすることも、患者さんの権利の一つです。しかしその場合でも、十分な説明を受けた上で、納得して「任せる」という意思決定をすることが重要なのです。インフォームドコンセントは、患者と医療者が信頼を基盤に対話を重ね、「一緒に考え、一緒に決める」という、新しい医療の姿を作り上げていくための、不可欠なコミュニケーションなのです。