医療
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家族としてインフォームドコンセントにどう関わるか
もし、自分の親や配偶者、子供が大きな病気にかかり、インフォームドコンセントの場に立ち会うことになったら。家族として、あなたはどのような役割を果たすべきなのでしょうか。これは非常にデリケートで、しかし重要な問題です。まず、大原則として忘れてはならないのは、治療方針を最終的に決定する権利は、患者さん本人にあるということです。たとえ家族であっても、本人の意思を無視して「先生、この治療でお願いします」と決めてしまうことはできません。家族の役割は、あくまで本人が最善の決定を下せるようにサポートすることです。具体的には、医師の説明を本人と一緒に聞き、理解が難しい部分があれば、後でわかりやすく噛み砕いて説明してあげたり、本人が聞きそびれたことや、不安に思っていることを代弁して質問したりすることです。冷静な第三者として、話の要点をメモしておくのも良いでしょう。しかし、本人が高齢であったり、病状が重く、自分で判断することが困難な場合もあります。その際は、家族が本人に代わって意思決定を求められることもあります。これは非常に重い責任です。そんな時、最も大切にしたいのは、「もし本人だったら、どう考えるだろうか」という視点です。日頃から、本人がどんな人生観を持ち、どんな生き方を望んでいるのかをよく話し合っておくことが、いざという時の判断の拠り所になります。家族は、本人の一番の理解者として、その人らしい選択を支えるサポーターなのです。