インフォームドコンセントは医療の道しるべ
病院で治療を受ける時、「インフォームドコンセント」という言葉を耳にしたことはありませんか。少し難しい言葉に聞こえるかもしれませんが、これはあなた自身が安心して医療を受けるために、非常に大切な考え方です。直訳すると「説明と同意」となりますが、その本質はもっと深く、温かいものなのです。例えるなら、初めての土地を旅する時の地図やガイドブックのようなものだと考えてみてください。旅の目的地(病気の治療)に向かうにあたって、ガイド役である医師から、どんな道(治療法)があるのか、その道は安全なのか(成功率)、途中にどんな危険(副作用やリスク)が潜んでいるのか、他の道(代替治療)はあるのか、そしてそもそも旅に出ないという選択肢(何もしない場合の見通し)はあるのか、といった詳しい説明を受けます。そして、その説明を十分に理解し、納得した上で、どの道を進むのかを最終的にあなた自身が決める。これがインフォームドコンセントの心です。昔は「お医者様にお任せします」というように、治療法は医師が一方的に決めるのが当たり前でした。しかし、今は違います。治療を受ける主役は、他の誰でもない患者さん自身です。自分の体について、どんな治療が行われるのかを正しく知り、自らの意思で選択する権利があるのです。この権利を守り、患者と医療者が対等なパートナーとして、同じ目標に向かって協力するための約束事が、インフォーム-ドコンセントなのです。