2025年9月
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注意が必要な特殊な歯科インプラントとMRI
ほとんどの歯科インプラントはチタン製でMRI検査に問題ありませんが、中には例外的に注意が必要なケースも存在します。特に知っておくべきなのが、磁石(マグネット)を使用したタイプのインプラントです。これは主に、総入れ歯などを顎に安定させるための「インプラントオーバーデンチャー」という治療法で用いられることがあります。インプラント本体はチタン製でも、入れ歯を固定するために、インプラント側と入れ歯側の両方に小型の強力な磁石が埋め込まれています。この磁石は、鉄などと同じ「強磁性体」であり、MRIの強力な磁場に強く反応してしまいます。もし、この磁石が付いたままMRI検査を受けると、磁石が破損したり、高熱を発生させたり、磁力が失われて入れ歯が固定できなくなったりする危険性があります。そのため、磁石を使用したインプラントオーバーデンチャーを装着している方は、MRI検査の前に必ず歯科医院を受診し、入れ歯側の磁石構造物を取り外してもらう必要があります。また、非常に稀ですが、1990年代以前にごく一部で使われていたインプラントの中には、ステンレス鋼など、チタン以外の磁性を持つ金属が使用されていた可能性もゼロではありません。ご自身のインプラントがいつ頃のもので、どのようなタイプか不明な場合は、自己判断せず、必ず治療を受けた歯科医院に確認することが重要です。一般的なスクリュータイプのインプラントであればまず心配ありませんが、「入れ歯を磁石で固定している」という自覚がある方は、特に注意が必要です。